医薬品の承認申請において、国際的に共通化された資料様式である「CTD(Common Technical Document)」は、申請資料の作成に欠かせない存在です。日本をはじめ、米国やEUなどでも採用されており、ICH(国際医薬品規制調和会議)によりその構成が定義されています。
本記事では、CTDのモジュール1〜5の構成要素を整理してご紹介します。
主なガイドラインとしては以下があります。
ICH-M4 CTD(コモン・テクニカル・ドキュメント) | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(出典:独立行政法人医薬品医療機器総合機構ウェブサイト)
モジュール1:行政情報および地域特有情報
各国の規制要件に基づく行政文書を含むパートで、日本では以下のような資料が該当します。
- 1.1 申請資料の目次(Module 1 含む全体構成)
- 1.2 各地域に特異的な文書
- 例:承認申請書、添付文書案など
モジュール2:CTDの概要(サマリー)
モジュール3~5の技術資料を要約したセクションです。レビュー担当者が全体を俯瞰するための重要なパートです。
- 2.1 CTDの目次(モジュール2~5)
- 2.2 緒言(Introduction)
- 2.3 品質に関する概括資料(Quality Overall Summary)
- 2.4 非臨床に関する概括評価(Nonclinical Overview)
- 2.5 臨床に関する概括評価(Clinical Overview)
- 2.6 非臨床試験の概要文および概要表
- 薬理
- 薬物動態
- 毒性
- 2.7 臨床概要
- 生物薬剤学試験および関連分析法
- 臨床薬理試験
- 臨床的有効性
- 臨床的安全性
- 参考文献
- 個々の試験のまとめ
モジュール3:品質に関する文書(Quality)
原薬および製剤の品質・製造・安定性に関するデータが中心となります。
- 3.1 モジュール3の目次
- 3.2 データまたは報告書
- 3.3 参考文献
モジュール4:非臨床試験報告書(Nonclinical Study Reports)
動物試験やin vitro試験などの非臨床データをまとめたパートです。
- 4.1 モジュール4の目次
- 4.2 非臨床試験報告書
- 4.3 参考文献
モジュール5:臨床試験報告書(Clinical Study Reports)
ヒトにおける臨床試験データを集約し、承認審査の中核となる情報を提供します。
- 5.1 モジュール5の目次
- 5.2 全臨床試験一覧表
- 5.3 各臨床試験の報告書(CSR)
- 5.4 参考文献
まとめ
CTDは、申請資料の標準化を進め、国際的な審査の効率化・調和を目的としたフレームワークです。特に日本では、PMDAが定める電子化提出(eCTD)の要件に従って構築される必要があり、正確な構成理解が不可欠です。
各モジュールについては、今後随時追加してご紹介できればと思いますので、引き続きご覧ください。